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「ピンと来てくれ」の意です

父からラインが来た

 運動不足を解消しようと運動したらアキレス腱を切った、父の話。

 競馬が好きな、父の話。

 

・先日家族ラインに父から「有馬記念の予想です☻♪♪」というメッセージが送られてきた。「いやポップだな、齢58歳。」と思って読んだ。内容はメッセージの通り、父が予想した有馬記念の着順だった。「まぁ、乗ってみるか。今日にでも買いに行こう」と考えている。

 

・父は私が物心ついた時から、競馬をやっている。昔、ギャンブルにお金をつぎ込む人が多いことを知った私は父に「お金大丈夫?」って聞いた。それに対しては「お小遣いの範疇だからね」と言っていた。子供二人を大学に行かせたり、私にギターを買ってくれたり、「生活が危うい」とは感じたことが無いので、その言葉を信じている。一口100円で賭けてるし。

 私もたまにやる。ちょっと楽しい。

 

・私には「親父、すごいな」と思うことがある。父と一緒に競馬をやると「この馬が勝つ」と言い切るのである。「そう思う」とか「多分」とかで濁さずに、「優勝する」と言い切るのである。今回も「この馬が優勝する」と言い切ったラインが来た。

 これは私が絶対に発言出来ない内容である。本当にすごいと思う。「え? なんでそう言えるの? 未来だよ? 確実なことなんてないよ? 加えて、ギャンブルだよ? その予想外れたら恥ずかしいよ? あと、確率めっちゃ低いよ?? 本当に大丈夫??」と思ってしまう。加えて、未来への期待は、それが外れたときに「あぁ、自分って惨めだなぁ」になる。あと、傷ついてしまう。傷ついたら、埋めたくなる。普段の自分とは違うことをする。余裕が無くなる。そんな自分が、面倒くさいし、周りが自分を「余裕がない人だ」と認識する。

 

・自分の予想を信じ「この馬が勝つ」と自信を持つ。自分が予想して、勝ったら「うへへ」と言う。

 勝っても総額がマイナスだったら「大してつかない」と冷静に判断する。

 負けたら「しょうがないか」という免罪符を使わず、全力で悔しがる。

 (俺がそんな父に対して「まぁそんなもんだよねぇ」と言ったことがある。無粋だな、と感じた。)

 ゴール前で「あーなんでそこで来るんだよー!」と声を出す。

 58歳の父が、周りの目を気にせず、常に真剣に取り組んでいる。

 

 親父が活き活きとしていることが、羨ましい。

 

・二、三度、父と一緒にゴール前をひた走る馬に向かって声を荒げたことがある。

 直後に恥ずかしくなるのだが、声を出した瞬間は馬しか見てなかった。

 父は「あの体験をいつもしているのか」と思う。

 

 私は、父を羨ましい、と思う。

 

・対照的に、羨ましいという感情を一切持ち併せず「絶対にいつか殴ってやる」という感情を私が持っている相手がいる。

 すごいとは思っているが、絶対に殴ってやりたいと思っている相手がいる。

 その話は、いずれ書く。兄よ、楽しみにしておけ!